EC Site Construction Costs and Price Quotes
ECサイト構築の費用と料金相場
ECサイト構築を考えているが、ECサイト構築方法や費用の相場は非常に分かりにくく
・最近は無料で作れるものもあり、違いが分からない
・見積もりをとったが、提案内容がバラバラで余計に混乱した
・2社に見積もり取ったら、倍近くの値段の差ができた
というWeb担当者の方の悲鳴をよく耳にします。
ホームページの中でも最も見積もり金額がブレやすく、相場が分かりにくいのがECサイト。
本記事では、ECサイトを構築する際の費用・相場を徹底整理。目的別に相場感をまとめました。
また料金・相場の情報と一緒に
・ECサイトの構築方法
・月商別のECサイトの選定方法
・EC開発会社の料金事例
などもお伝えします。ぜひご一読ください。
≫ ECサイトの構築方法と特徴
ECサイト構築の費用と相場を知るためには、まず「ECサイトの構築方法の違い」を知っておく必要があります。
ここでは5つのECサイト構築方法をご紹介します。
※構築方法の項目をクリックしていただくと、それぞれの項目の箇所へジャンプします。
ECサイト構築方法 | 構築費用 | 維持費用 | 制作期間 | カスタマイズ性 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
ECモール | 安い | 安い※ | 短い | 低い | 不要 |
ASP | 安い | 月額費用がかかる | 短い | 低い | 不要 |
オープンソース | 安い※ | 安い※ | 短い〜長い | 普通 | 必要 |
パッケージ | 高い | 高い | 長い | 高い | 必要 |
フルスクラッチ | 非常に高い | 非常に高い | 非常に高い | 非常に高い | 必要 |
※モール型は維持コストはかからないが、売れた商品に対して一定割合がモール側から課金されるため注意が必要
※オープンソース型は自社で構築・運用する場合はコストが安いが、制作会社に依頼する場合は相応のコストがかかるため注意が必要
≫ ECモール
代表的なECモール
・Amazon
・楽天市場
・Yahoo!ショッピング
楽天市場やYhaoo!ショッピングなどのモール型。
自社でECサイトを持つのではなく、プラットフォームに出店(出品)する形をとります。
≫ メリット
・ECモール自体に集客力があり、ユーザーに信頼されやすい
・各モールのサポートが受けられる(集客が運営など)
・初期費用が少なく簡単に始められる
ECサイト構築にかかる開発費用がほとんどかからないため、低コストスタートできるのが魅力。
各モールのサポートも受けられるため、EC運営の初心者に適したプランと言えます。
≫ デメリット
・カスタマイズがしにくい・独自性を出しにくい
・商品が売れたらロイヤリティを支払う必要がある
様々なEC店舗の集合体ということもあり、独自性が出しにくいのが最大の難点です。
売上に対する一定割合をロイヤリティとして課金されるため、収益性は自社ECの方が高いです。
≫ ASP
代表的なASP
・BASE
・カラーミーショップ
・MakeShop
・ショップサーブ
・Shopify
ASPとはApplication Service Providerという略で「ECサイトの仕組みをインターネット上で使わせてもらえる」ものです。
自分でソフトをインストールしたりする必要がなく、ネット(ブラウザ)上で簡単にECサイトを始められることが特徴です。
≫ メリット
・構築費用・維持費用共に低コスト
・制作期間が短く、すぐにオープンできる
・サーバーが不要
こちらも簡単に始められるのが魅力。
初心者だが自分でECサイトを持ちたい!という方にオススメです。
≫ デメリット
・オープンソースやパッケージ型に比べ、カスタマイズ性が低い
・自社システムとの連携が難しい
自社のECサイトながらも外部のシステムに依存しているため、カスタマイズが難しいです。
今後ECを事業として大きくして行きたい!という方はこの点が大きな障害になります。
≫ オープンソース
代表的なオープンソース
・EC-CUBE
・Magento
オープンソースは「無償公開」されているECサイトの構築システムのことです。
誰でも無償で利用でき、ソースコードが公開されているためカスタマイズ性も高いです。
≫ メリット
・無償で利用できる
・自由にカスタマイズできる
これだけ聞くと夢のようなシステムですが、当然デメリットも存在します。
≫ デメリット
・専門知識がないと使いこなせない(カスタマイズできない)
・サポートがない。システム上の問題は自分で解決する必要がある
・セキュリティの問題
オープンソースは無償で自由に使える分、あらゆる部分が「自己責任」になります。
また高度なカスタマイズにはプログラミングの知識が必要になるため、ECサイト構築の経験があるエンジニアがチームにいる場合は非常に便利な構築方法です。
なお、オープンソースのECサイトシステムの導入やカスタマイズを支援する制作会社も多数存在します。
そういったEC専門制作会社の力を借りるのも1つの方法です。
≫ パッケージ
代表的なECパッケージ
・Orange EC
・ecbeing
・ebisumart
パッケージは、ECサイト構築のシステムを開発会社が用意して販売しているパターンです。
≫ メリット
・カスタマイズ性が高い
・大規模なECサイト構築にも対応している
最初からECに必要な一通りの機能が揃っている上に、柔軟なカスタマイズにも対応可能なのがパッケージ型ECの魅力です。
≫ デメリット
・初期費用・維持費用ともにある程度かかる
・バージョンアップに費用がかかる
これまでのASPやオープンソースに比べてコストがかかるのが最大のデメリットです。
≫ フルスクラッチ
フルスクラッチは「ゼロから完全にオリジナルのシステムを開発する」ことを言います。
カスタマイズ性は最も高く、費用も最もかかります。
≫ メリット
・独自に開発するため、カスタマイズ性が非常に高い
メリットはこの1点につきます。
例えば、大規模なECの場合「モール型ECとの連携」「在庫管理」「物流システムと連携」など、
様々なシステムとの連携や業務管理を行う必要があります。
独自に開発しているからこそ、「他システムとの連携が自由」「機能追加の制約がない」といった恩恵を受けられます。
≫ デメリット
・構築費用・維持費用が非常に高い
・制作期間も非常に長い
全て独自に作ってしまうので、コストが高く・制作期間も長いです。
独自に開発するため不具合も起こりやすく「ECサイトを旗艦事業として本格的に展開していく」方以外はあまりオススメしません。
ここまで、ECの構築方法をご紹介してきました。
重要なのは「自社の状況や方針に合わせて、構築方法を選ぶ」こと。
必ずしも、フルスクラッチでオリジナルのECサイトを作るのが良いとは限りません。
≫ ECサイト構築の費用と相場
ECサイトの相場は、機能や構築方法に応じて費用が変わります。相場の目安として、ASPを使ったECサイトの立ち上げなら50万円程度、オリジナルの開発なら500万円以上の制作費用がかかることも珍しくありません。
ここでは「まずは簡単にECサイトを始めてみたい」「自社で本格的にEC事業を立ち上げたい」など目的別で相場を整理しました。
※金額部分をクリックしていただくと、それぞれの価格帯の箇所へジャンプします。
目的 | 相場 | 構築方法 | 発注先 | 制作期間 |
---|---|---|---|---|
低コストで ECサイトを始めたい | 無料〜10万円以下 | モール型 ASP型 | EC構築サービスを利用(自分で作る) | 1週間〜1ヶ月 |
費用を抑えながら 独自のECサイトが欲しい | 10万円~100万円 | ASP型 オープンソース型 | 中小規模の制作会社 | 1ヶ月〜2ヶ月 |
オリジナルのデザイン・コンテンツでしっかりしたECサイトが欲しい | 100万円〜500万円 | オープンソース型 パッケージ型 | 中小規模の制作会社 | 2ヶ月〜5ヶ月 |
自社の事業に合わせた本格的なECサイトが欲しい | 500万円以上 | オープンソース型 パッケージ型 フルスクラッチ | 中小規模の制作会社 大手制作会社 | 4ヶ月〜8ヶ月 |
大きく4つに分類しました。
以下、価格帯別にその特徴をご紹介していきます。
≫ 無料〜10万円以下の相場
目的:低コストでECサイトを始めたい
発注先:モール型 or ASP型のサービスを利用する(自分で作る)
制作期間:1週間〜1ヶ月
・とにかく安くでECサイトを始めてみたい
・実験的に商品をECサイト上で売ってみたい
といった、予算をかけないECサイト制作を目的とする場合です。
≫ 10万円以下 相場の特徴
・商品写真や原稿などは依頼側が用意
・テンプレートのデザインを活用
・モール型やASP型のECサイト構築ツールを使った制作
楽天市場やYahoo!ショッピングなどへの出品や、BASEなどの無料のASPを活用したECサイト構築がこのサイトの価格帯です。
その場合、あらかじめ用意されているテンプレートのデザインに写真やテキストを流し込んで作成を行います。
商品写真や商品の原稿さえ揃っていれば1日〜3日で作成できます。
素材作りの時間も加味して1ヶ月あれば十分サイトを制作できます。
注意!
モール型やASP型のECサイト構築を行なっても、販売のロイヤルティや月額利用料などで、
月々の運用費用を課金されてしまい、支払総額が10万円を超えることがあります。
ここでは「初期費用」を抑えたい人向けであることをご理解ください。
≫ 10万円 〜 100万円以下の相場
目的:費用を抑えながら独自のECサイトが欲しい
構築方法:ASP型 or オープンソース型
発注先:中小規模の制作会社
制作期間:1ヶ月〜2ヶ月
この相場は
・モール型ではなく独自のECサイトを作りたい
・ただし予算は抑えたい。デザインにはそこまでこだわらない。
といった、独自のECサイト構築をスタートしてみる段階の価格帯です。
≫ 10万円 〜 100万円以下 相場の特徴
・商品写真や原稿などは依頼側が用意
・各ASPなどのテンプレートデザインを活用
・高度なカスタマイズは望めない
この相場は、カラーミーショップやEC-CUBEなどの「ASP型」「オープンソース型」を活用し制作会社に開発してもらうケースです。
プロに開発してもらうのだから、色々要望を出しても大丈夫そう!と考えるのは危険です。
この相場では、多少のデザインのカスタマイズなどが中心です。
Artistas-Designでは、「30万円〜100万円でECサイトを作りたい」というご依頼を非常に多くいただいております。
≫ 100万円 〜 500万円以下の相場
目的:自社の事業に合わせた本格的なECサイトが欲しい
構築方法:オープンソース型 or パッケージ型 or フルスクラッチ
発注先:中小規模の制作会社 or 大手制作会社
制作期間:2ヶ月〜5ヶ月
独自のECサイト構築の中でも、オリジナルでデザインを行なったり・業務に合わせた機能を追加するなど、
しっかりしたECサイトを制作する価格帯です。
≫ 100万円 〜 500万円以下 相場の特徴
・商品写真や原稿などは制作側が用意(金額による)
・オリジナルのデザイン
・業務に合わせたカスタマイズ(機能追加)が可能
金額にもよりますが、この相場から商品撮影や原稿などのコンテンツに関しても制作会社側で担当してくれるケースが増えてきます。
またデザインや機能についても業務に合わせながらカスタマイズが可能になってくる価格帯です。
≫ 500万円以上の相場
目的:オリジナルデザイン・コンテンツでしっかりしたECサイトが欲しい
構築方法:オープンソース型 or パッケージ型 or フルスクラッチ
発注先:中小規模の制作会社
制作期間:4ヶ月〜8ヶ月
自社の事業に合わせて機能をカスタマイズしたり、自社で使用しているシステムとの連携など高度なカスタマイズが可能になる価格帯です。
※分類上「500万円以上」としましたが、フルスクラッチでECサイトを開発する場合、数千万円にもなることもあります。
≫ 500万円以上 相場の特徴
・商品写真や原稿などは制作側が用意(金額による)
・オリジナルのデザイン
・業務に合わせたカスタマイズ(機能追加)が可能
・自社システムとの連携・運営サポートも充実
100万円〜500万円以下に比べて、よりカスタマイズ性が高いのが特徴です。
自社システムとの連携や業務効率化のための機能など、事業として本格的にECを運営していく方にオススメです。
ECサイト公開後の運営サポートも充実している制作会社が多いです。
≫【年商別】おすすめECサイト構築方法
ECサイトの年商別に、採用すべき構築方法をまとめました。
もちろんECサイトの種類やターゲット、運営方法によってバラつきがありますが1つの目安としてご覧ください。
ECサイト構築方法 | ECの年商規模 | 構築費用 |
---|---|---|
ECモール | – | 安い |
ASP | 1億円以下(数百万円が中心) | 安い |
オープンソース | 1億円〜30億円 | 安い※ |
パッケージ | 1億円〜30億円 | 高い |
フルスクラッチ | 30億円以上 | 非常に高い |
年間売上1億円に満たないECサイトの場合
・事業規模が小さい
・EC事業を初めて間もない
場合が多いかと思います。特に後者(EC事業を初めて間もない)のケースは事業が成長するにつれて業務フローが変わってしまう可能性があります。業務フローが変わってしまうとECサイトに必要な機能の要件も変わってしまうため、できるだけ開発予算を抑えてECサイトを構築することをオススメします。
ある程度事業が大きくなってきたら、オープンソースやパッケージを使って、しっかりカスタマイズしていくのがGoodです。
※モールについては、年商規模の大きい会社も1つの販売チャネルとして利用しているケースが多いです。販売経路を増やしたい場合はモール型を利用すべきです。
≫ ECサイト構築の費用・料金の参考例
ここまでご説明した相場を考慮しながら、参考例として制作会社の料金を見てみましょう。
≫ ECサイト構築会社の料金事例
例:A社
おまかせ開店プラン:12万円
店舗ページ制作プラン:30万円
最安12万円から楽天市場の展開が開始できます。楽天市場の店舗管理システムの設定も含まれた料金設定です。
例:B社
・1ページのみのシンプルプラン:15〜25万円
・フルオーダープラン:30〜40万円
制作期間
・1ページのみのシンプルプラン:1ヶ月程度
・フルオーダープラン:1〜2ヶ月
ともにカラーミーショップを活用したECサイトの構築サービスの料金事例です。制作ページ数によって料金が変動します。
例:C社
EC-CUBEによるサイト構築:126万円
ブログ連動型のECサイト構築:210万円
EC-CUBEを活用したホームページ制作です。
WordPressのブログ機能と連携を行うなどカスタマイズにも対応しています。
例:D社
初期費用:1,000万円〜
システム運用保守:20万円 / 月〜
フルスクラッチでECサイトを構築した時の料金目安です。
ECサイトの運用支援やコンサルティングを行うノウハウ豊富な企業だからこそ、高度なカスタマイズが期待できます。
その分ASPを用いた開発よりも高い制作料金になります。
≫ ECサイト構築の費用・相場で注意したいポイント
ECサイト構築の相場や制作会社の事例を紹介してきました。
しかし、制作会社により料金体系やプランがバラバラで、正確に相場を把握するのは難しいです。
ここでは、少しでも正確に相場観を養うためのECサイト見積もり時のポイントをお伝えします。
≫ ささげ業務(撮影・採寸・原稿)
商品販売を行うECサイトでは、ささげ業務が必須になります。
ささげ業務とは、「撮影(さつえい)」「採寸(さいすん)」「原稿(げんこう)作成」のことを指し、ECサイトには不可欠な業務です。
こちらを依頼側・制作側どちらで行うかが、見積もり金額が左右されるポイントになります。
制作会社によっては対応してない会社もあるので注意が必要です。
≫ 決済機能
ECサイトにおいて「決済」は最も重要な機能。
ECサイトのターゲットによって導入したい決済サービスも変わってきます。
ASP型やパッケージ型のECサイトを中心に様々な決済メニューが用意されていますが、
決済手段を追加すればするほど見積もり金額は高くなります。
あらかじめ、どの決済手段を利用するかを決めておくようにしましょう。
≫ 物流業務
制作会社によっては、ECサイト公開後の物流業務を請け負ってくれる会社があります。
(主に制作だけでなく、運用やコンサルティングを行う会社が当てはまります。)
ECの担当者としては売上を伸ばすことに注力したいところ。
追加料金はもちろんかかりますが、あらかじめ確認しておくことをオススメします。
≫ 集客方法
特にモール型以外のECサイトを立ち上げる場合、サイト公開後は「集客」が必要になります。
・リスティング広告
・SEO対策
・SNS広告
・インフルエンサーマーケティング
と集客と言っても手段は様々。
1つ1つ別の会社を選んでしまうと、やり取りだけで大変になってしまいます。
制作会社が、そのまま集客も行ってくれるのか・連携可能な集客会社を紹介してくれるのか、など
ECサイト公開後の運営についても事前に確認しておくようにしましょう。
≫ ECサイトの耐用年数
業務フローの変更・デザインの変更などで、ECサイトは3〜5年でリニューアルすると考えておく方がいいでしょう。
当然リニューアルには別途費用がかかります。
「長く使うものだから・・・」という想いでお金をかけても数年でリニューアルということも。
3年程度でリニューアルするかも、ということを頭に入れておいた方がGoodです。